【RPA開発依頼】要件定義フェーズの重要性・落とし穴
皆さんこんにちは。RPAエンジニアのKです。
現在、お客様先にてロボットの開発前の相談窓口や要件定義の担当をしております。
この度は業務自動化をご検討されている皆様へ要件定義フェーズの重要性について、
実際に発生した障害の実例も交え、ご共有させて頂きたいと思います。
1.RPA開発案件の進め方
下記がオーソドックスなRPA開発の案件相談を頂いてから運用までの流れとなります。
ご依頼者様で業務の性質、費用対効果など考慮の上、自動化対象業務を選定頂き、
当社へご相談頂く事がスタートとなります。次ステップとして、ヒアリングや業務資料、
手順書を通し、業務内容の理解を進め自動化対象範囲、内容をご提案させて頂きます。
ここまでが冒頭で示した要件定義の部分に当たり、赤枠のフェーズとなります。
その後、ご提案した内容に基づき、開発設計書を作成し開発・テストを通し納品過程を経て、
運用保守フェーズに移行します。
2.なぜ要件定義フェーズが重要なのか
冒頭で触れた通り、自動化実現までのフェーズで最も重要部分にあたるのが、要件定義フェーズであると考えます。
なぜ、最も重要であるかの説明ですが、例えば、東京から沖縄へ旅行する事をイメージしてください。
移動の際に最も重要である事は移動する”方角”ではないでしょうか。
当たり前のことですが、沖縄へ行きたい。という目的を果たすためには沖縄に向けて移動しなければなりませんし、
東京から北へ移動しても沖縄にたどり着く事は出来ません。
これをRPAに置き換えますと、要件定義の部分は目的達成に対しての地図に当たります。
一見、開発者のスキルが重要視されがちですが、開発の工程は目的達成に向けたアプローチであり、
先程の例で例えますと飛行機、船、徒歩など、どのよう方法を用いて沖縄へ向かうか、
どのような地点を経由するかなどの戦術にすぎません。
もちろん、徒歩で沖縄に行くのは現実的ではありませんし、最短で到着する飛行機を選択できる開発スキルも重要ですが、
そもそも沖縄へ向かう事が最も重要であると、理解頂けるかと思います。
またRPAの特性上、作成後に品質や処理効率を改善・向上させることは比較的容易ですが、
そもそもの処理内容やアウトプットの形式を変更するには膨大な改修作業が必要となります。
上述のご説明通り開発フェーズに入る前段階でいかに要件を正確に詰めるか、配慮漏れをなくすかが最重要であり、
要件定義~開発~保守工程の中で担当チームの入れ替わりが発生しない、当社のワンストップサービスを活用頂く事が、
自動化したい業務の目的を逸らさず、費用対効果の高いRPAをお使い頂く有効な手段になると考えます。
3.要件定義が曖昧だったことにより障害事例
このパートでは実際に要件定義が不十分だったことに起因した、障害事例をご紹介致します。
【自動化内容】
- SaaS Webシステムへログインし指定の.csvファイルを選択
- ローカルPC内の所定フォルダへ.csvファイルをダウンロード
- ローカルPC内のファイルをファイルサーバーへ移動
■イメージ図
【事象】
ローカルPCに保存された.csvデータをファイルサーバーへ移動する際、
意図しないファイルまで、移動されてしまった。
【直接原因】
RPA開発時に移動対象のファイル(ダウンロードしたファイル)を特定する、
フェーズを組込んでおらず、ローカルPC内の所定フォルダに保管されている
ファイル全てをファイルサーバーへ移動してしまった。
【間接原因】
開発者はローカルPC内の所定フォルダに移動対象のファイル以外が、
保管されている事を想定出来ていなかった。※要件定義時の合意不足
【事後対応策】
移動対象ファイルのネームルールをRPAに設定し、ネームルールに
合致するファイルのみファイルサーバーへ移動する、合致するファイルが
無い場合はエラーを検知するよう改修作業を行う。
こちらの障害発生に伴い、一般社員には公開禁止のファイルが全社員が閲覧可能な
ファイルサーバーのフォルダへ移動されてしまい、セキュリティ事故の発展に繋がる結果となりました。
4.まとめ
最後まで記事を読んで頂き、大変ありがとうございました。
今回はイメージしやすいよう、実際に発生した障害事例も含めて要件定義の重要性を、
ご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
人間が作業した際には防げる事象も、要件定義の地図が誤っている、漏れている場合に、
思わぬ事故に繋がるのがRPAの特性です。
こちらをご理解頂き、要件定義に力を割くべきだと考えて下さる方が増え、
また、当社が提供するRPAワンストップサービスの重要性・優位性に注目頂けますと大変幸いです。
是非、業務自動化にご興味をお持ちの担当者様はご相談頂ければと思います。
ご連絡お待ちしております。ありがとうございました。