企業でDXを実現するために、改めて一緒にDXの流れを見直してみましょう!第3回:(1)DX推進のための経営のあり方-その2-
みなさん、こんにちは。DXアンバサダーの伊藤です。
DX推進ガイドラインの読み直しを始め、3回目となりました。
今回お伝えする、”DX推進ガイドライン-(1)DX推進のための経営のあり方、仕組み”の
「DX推進のための体制整備」は、私がこの読み直しを始めた理由のひとつになります。
この体制をいかに整備するかで、DX推進全体のモチベーションや浸透率、基盤構築速度に至るまで
様々な推進に影響があると考えています。
>>前回内容
第2回:(1)DX推進のための経営のあり方-その1-
-(1)DX推進のための経営のあり方、仕組み
「DX推進のための体制整備」では、以下が記載されています。
《DX推進のための体制整備》
3.経営戦略やビジョンの実現と紐づけられた形で、経営層が各事業部門に対して、データやデジタル技術を活用して
新たなビジネスモデルを構築する取組について、新しい挑戦を促し、かつ挑戦を継続できる環境を整えているか。
-これは、DXの推進そのものが経営と密に関わっている事を表しています。
そして、近年の代表的な情勢の変化として、コロナ過でその重要さが再確認される事となりました。
以下令和2年12月に経済産業省より発表された「DXレポート2中間取りまとめ」抜粋
(太字→)コロナ過で起きたこととDXの本質
・緊急事態宣言(7都府県)を受けて、導入率は1ヶ月間で2.6倍と大幅に増加
→経営トップのコミットメントの下でコロナ禍を契機に、速やかに大きな変革を達成 テレワークをはじめ社内のITインフラや就業規則等を迅速に変更してコロナ禍の環境変化
に対応できた企業と、できなかった企業の差=押印、客先常駐、対面販売など、これま
では疑問を持たなかった企業文化の変革に踏み込むことができたかが、その分かれ目 事業環境の変化に迅速に適応すること、その中ではITシステムのみならず企業文化
(固定観念)を変革することの重要性が明らかに
DXの本質
また、コロナ過は一過性の特殊事象ではなく、常に起こり得る事業環境の変化とも言われており、
変化に迅速に適応するために、ITシステムのみならず企業文化(固定概念)をも変革することが
DXの本質であるとしています。
しかし、そんな環境変化があった後でも95%近くの企業が全体的な危機感の共有や意識改革のような
段階に至っていないのが現実です。
要因は多々あると思いますが、「DXレポート2中間取りまとめ」に記載されている内容の中でも、
私は「ベンダー企業が目指すべきはユーザー企業とDXを一体的に推進する共創的パートナーである」と
いう部分が重要だと考えており、それはベンダー企業だけでなくSIerやITベンダーも同様だと思っています。
なぜか-という部分ですが、DX成功パターンと言われている経営における
「デジタルを”使いこなす”視点」を育てるには「デジタル”だからこそ”の視点」を
いかに示すかが重要だと考えるからです。
今までの成功事例では、RPAによる工数削減や生産性の向上は散見されますが、
ビジネスプロセスや企業文化までの変革が見られるのは、
DXを推進し始める時点で既に経営層が変革に前向きな場合が殆どです。
言い換えると、「デジタルを”使いこなす”視点」が既に発展しているからこそ、
DXに向けた戦略が展開できたという事になります。
では、この「デジタルを”使いこなす”視点」が発展していない企業はどうするべきでしょうか。
もちろん、経営戦略をDXに向けて舵を切ればいいのですが、
DXがもたらす効果や価値が見えていないため、そう易々と舵は切れません。
そこで大事になってくるのが「デジタル”だからこそ”の視点」を示し、
「デジタルを”使いこなす”視点」を育てるということです。
ベンダーが目指すべきもの
ここで目線を”現状”に戻したいと思います。
現状DX推進は、推進したいけれど効果が見えず、コストもかかるため着手できない経営層や導入企業(以下:導入側)と、
推進したいけれど予算上難しかったり、効果が伝えきれずに終わっているIT部門やIT企業(以下:IT側)
という構図になってはいないでしょうか。
各々構図に若干の違いはあれど、DXの価値や本質を企業の経営層にお伝えすることが
どれほど難しいかは、理解されていると思います。
そこで弊社では、先ほどもお伝えした通り、DXレポート2中間取りまとめにある
「ベンダー企業が目指すべきはユーザー企業とDXを一体的に推進する共創的パートナー」である
という部分に目を向けました。
導入側が求める要求に柔軟に対応するため、企業に合ったサービス内容を都度構築して提供するビジネスモデルへ移行すると共に、
DXを推進する上で必要な情報を提供し、企業の知的財産として吸収していただくことを価値として提供しています。
また、上記価値提供を共創的に行うために、導入側には全社展開を見据えた体制の構築をお願いすることで、
DXをいかに推進していくか、延いては経営層にいかに効果を報告するかを一緒に考えて進められる体制構築を目指しています。
この内容は弊社の一例に過ぎませんが、DX推進を行っていくには導入側とIT側が二人三脚の体制をとり、
お互いが出来得る価値の提供をし合う事で、共に成長することが大事だとこれまでの導入経験から感じています。
まとめ
繰り返しになりますが、まとめとしまして。
導入側もIT側も隔てることなく、自動化する業務の内容だけではなく、企業の方針やDXに求めるモノを理解し、
DXの本質や目的を共有できる関係性を築くことが、《DX推進のための体制整備》の第一歩となります。
「RPAの導入」や「工数削減」といった目的を達成するための手段が目的とすり替わってしまう要因も、
「デジタルを”使いこなす”視点」と「デジタル”だからこそ”の視点」が表裏一体にならず、
片方の視点に偏った戦略となっているからではないでしょうか。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
今回お伝えした内容は、DX成功パターンの策定|DXに向けた戦略の立案・展開における
「組織戦略」「事業戦略」「推進戦略」の「組織戦略」部分に過ぎません。
また、DX推進ガイドラインとしても《DX推進のための体制整備》の概要を読み直したのみとなります。
それほど大事な部分であり難しい部分でもありますので、次回も引き続き
《DX推進のための体制整備》のお話をさせていただければと思います。
次回は体制整備における「マインドセット」「推進・サポート体制」「人材の育成・確保」を
読み直していきたいと思いますので、次回もお付き合いいただけますと幸いです。
ライター:伊藤 崇峰
2018年にDXを知り、RPA開発リーダーとして3年間様々な部署の業務を自動化する。
自動化を行う中で培った幅広い知識・経験を活かすため、現在はDXコンサルタントやプリセールスを生業としながら、
DXアンバサダーとして活動している。