企業でDXを実現するために、改めて一緒にDXの流れを見直してみましょう!
第2回:(1)DX推進のための経営のあり方-その1-

みなさん、こんにちは。DXアンバサダーの伊藤です。

前回からDX推進ガイドラインの読み直しを始めましたが、
最近になりDXの見直しを課題としている企業のお声を聞くことが多くなり、
やはり見直しによって皆様へしっかりベネフィットを提供する必要があると再認識しております。

さて今回は、DX推進ガイドライン-(1)DX推進のための経営のあり方、仕組みの中から
「経営戦略・ビジョンの提示」と「経営トップのコミットメント」について、見直していきたいと思います。

 

-(1)DX推進のための経営のあり方、仕組み

「経営戦略・ビジョンの提示」では、以下が記載されています。

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《経営戦略・ビジョンの提示》

1.想定されるディスラプション(「非連続的(破壊的)イノベーション」)を念頭に、
データとデジタル技術(※1)の活用によって、どの事業分野でどのような新たな
価値(新ビジネス創出、即時性、コスト削減等)を生み出すことを目指すか、
そのために、どのようなビジネスモデルを構築すべきかについての経営戦略やビジョンが
提示できているか。

※1:デジタル技術とは、AI・IoT・データ分析・クラウド・スマホアプリ・RPA・AR/VRなどのこと。

▼失敗ケース
 ✓戦略なき技術起点のPoCは疲弊と失敗のもと
 ✓経営者が明確なビジョンがないのに、部下に丸投げして考えさせている(「AIを使って何かやれ」)
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ここでまず目につくのが”想定されるディスラプション”という単語ですが、
そもそもどういうことか説明していきたいと思います。

ここで言う想定されるディスラプションとは、括弧書きされている「非連続的イノベーション」の事を指します。

経済学者ヨゼフ・シュンペーター曰く、「創造的破壊を起こし続けなければ、生き残ることができない」です。
具体例をあげると「新市場への進出」や「外部の力を使った新製品開発」のような価値創造です。

この非連続的イノベーションを起こすために、データとデジタル技術を活用するわけですが、
経営戦略やビジョンを提示できていないと失敗する、そんな内容です。

価値創造やイノベーションについては、考えていない企業は無いはずです。
しかし、失敗ケースに書かれている戦略や明確なビジョンがないままDXを進めている企業は多く見受けられます。
これは至って普通な考えであり、今のデジタル技術でイノベーションが起こせるのか確認したいという心境の表れになります。

ですが、ここに落とし穴があると私は考えています。

今のデジタル技術を確認する行為自体が、既にDXから外れているとしたらどうでしょう。
データを活用するためにデジタル技術を用いるはずが、デジタル技術を活用できるデータを
探してしまっていたとしたらどうでしょう。

DX推進ガイドラインにあるように、企業がまず取り組むべきは
顧客や社会のニーズを基に、ビジネスモデルや企業文化を変革すること」にあるとするならば、
先行してデジタル技術を取り入れてしまっては、今までのIT活用と同じではないでしょうか。

企業は今まで、IT活用として業務を効率化する情報システムを取り入れ、他社との優位性を図ってきました。
しかしその優位性は今や”普通”となり、先人たちの知恵を基に新規参入企業は更に高度なIT活用を取り入れてきます。

そこで、新規参入企業に太刀打ちするために
”IT活用とは異なるデータを用いて、デジタル技術を活用する事で新たな価値を生み出す”事
DX推進活動であるべきなのです。

では具体的に何をするべきでしょうか。

デジタル技術を導入する前に、データを整理・分析することだと私は考えています。
ピーター・ドラッカーの言葉を借りるのであれば、データに意味を持たせることで、データを成長させる必要があります。

現状のIT活用では、業務の情報をデータ化して業務効率化しています。
即ち、業務のデータに対するデジタル技術の活用は既にできています。

では、DXの言うデータとは何か?

それは「顧客や社会のニーズ」です。

今まで業務の遂行に使用するモノであったデータに、-蓄積された顧客や社会のニーズを分析し、
企業がコミットメントすべき新たなドメインを見つけ出すといった意味を持たせることで、
既存のデータから価値創造すべき経営戦略やビジョンを描くことができるのではないでしょうか。

ここで課題になるのは、顧客や社会のニーズがデータ化されているかどうかです。
正直、従業員の頭の中にのみ保存されている可能性も十分にあります。

顧客や社会のニーズをデータ化するためにどんなデジタル技術を手段として用いるのか。
はたまたどんなデジタル技術を用いれば、そのデータを分析しイノベーションを起こすためのビジョンを描けるのか。

そこから検討する必要があると、DX推進ガイドラインを見直して強く感じました。
AIやRPAなどのデジタル技術を検討されている方は、自社の経営戦略やビジョンが提示されているかどうか
今一度確認してみてはいかがでしょうか。

ここまで、
 ・顧客や社会のニーズのデータ化
 ・データの分析
 ・経営戦略とビジョンの提示
について触れてきました。

この内容は企業の経営に関わる部分であり、簡単に意思決定できるものではありません。
したがって、DX推進ガイドラインにはこう書かれています。

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《経営トップのコミットメント》

2.DXを推進するに当たっては、ビジネスや仕事の仕方、組織・人事の仕組み、企業文化・風土そのものの変革が不可欠となる中、
経営トップ自らがこれらの変革に強いコミットメントを持って取り組んでいるか。
-仮に、必要な変革に対する社内での抵抗が大きい場合には、トップがリーダーシップを発揮し、意思決定することができているか
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この項目は正直難しいと思っています。
もちろん経営トップが主体となって取り組むに越したことはないのですが、現実問題そうはいかないでしょう。

しかし、DXは経営戦略です。
有用性をボトムアップで伝えつつ、最終的には経営トップが意思決定し全社的プロジェクトとして遂行する必要があります。
この内容は各企業で異なる計画が必要となり、定石は存在しませんので次回以降でボトムアップの道筋を考えていきたいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回はDX推進の体制を掘り下げていきますので、次回もお付き合いいただけますと幸いです。

 

第2回予定:(1)DX推進のための経営のあり方-その2-

ライター:伊藤 崇峰
2018年にDXを知り、RPA開発リーダーとして3年間様々な部署の業務を自動化する。
自動化を行う中で培った幅広い知識・経験を活かすため、現在はDXコンサルタントやプリセールスを生業としながら、
DXアンバサダーとして活動している。