RPAの導入は何から始める?ツール選定前の準備ステップについて詳しく解説します
皆さんこんにちは。RPAエンジニアの「エスプレッソ」です。
普段はお客様先に常駐させていただき、ロボット開発や運用支援をしています。
その中で、培った経験をブログを通してお伝えし、課題を抱えている方へのヒントや、
一歩踏み出す力になればと思い執筆しております!
そこで今回、お話しさせて頂くのは「RPAの導入は何から手をつければ良いのか」についてです。
RPAは自社の生産性を向上させる効果的なツールですので、導入を検討している企業も多いと思います。
しかし、RPAに馴染みのない方にとっては「何から始めればいいの?」や「自社にRPAは向いているのか?」といった
RPAツールを選定するより前の段階で、すでに悩まれている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では「RPAツールを導入する前に検討すべきこと」について解説します。
あわせて、前段階の検討が終わった後の「RPA導入の進め方」についても解説していますので、
導入する際の一助になれば幸いです。
そもそもRPAとは?
すでにご存じの方も多いと思いますが、あらためて「RPAとは何か」について解説します。
RPAとは「ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)」の略で、
ロボットと呼ばれるソフトウェアを利用して、デスクトップ上で行っている業務を自動化するテクノロジーです。
RPAは、人が実施している定型業務や大量の繰り返し業務など「ルールが定まっている業務」の自動化を得意としています。
一方で、人の判断が必要だったり、分岐を多く含むような複雑な業務の自動化は苦手です。
そんなRPAですが、ツールを導入すれば、後は勝手に業務を自動化してくれるようなツールではなく、
あらかじめ「させたい処理」をRPAツールに設定し、その設定された手順に沿って自動稼働するような仕組みになっています。
そういった仕組みであることから、RPAツールを選定する前に「自動化できそうな業務」を検討しておく必要があります。
では、どんな手順で「自動化できそうな業務」を検討するのか、以下で解説していきます。
RPA導入前の検討手順
自動化できそうな業務を探り出すためには、以下4つの手順を実施します。
この手順について、RPAツールを導入する前段階の検討になりますが、これを疎かにすると不要なツールを導入してしまったり、
思ったより費用対効果が出ないといった状況に陥る可能性があるため、しっかりと対応しましょう。
手順①:RPA導入の目的と効果の明確化
1つ目の手順としては、どんな目的でRPAを導入し、どんな効果を期待しているかについて明確にしておきます。
RPAの導入が失敗してしまう事例としてよくあるのが、導入するだけで生産性向上などの課題が解消すると
思い導入してしまうケースです。
RPAはあくまでも「業務をサポートするためのツール」になるため、利用者が明確なイメージをもっていないと
導入が失敗してしまいます。
また、RPAを導入した場合の効果についても「どれぐらい効果がありそうなのか」について検討していないと
思っていたよりも効果が出ていないと判断されてしまい、たとえ効果が出ていたとしても失敗したような印象になってしまいます。
そのため、RPAツールの導入前には「目的と効果」について明確にしておきましょう。
手順②:既存業務の洗い出し
2つ目の手順として、自社にはどんな業務が存在しているのかについて洗い出します。
これから自動化を進めるにあたって、そもそもRPAに向いていない業務ばかりであれば導入する意味が無くなってしまいます。
そのため、あらかじめ既存業務の洗い出しを行い、RPAを導入することで効果がありそうかについて、
おおよその状況を確認しておきましょう。
また、既存業務の洗い出しを実施することで、属人化していた業務が見つけられたり、現場の声を吸い上げることで、
本当に困っている業務をヒアリングできたりなど良い効果もあります。
そのため、既存業務を洗い出す際のポイントは「この業務は自動化できなさそう」と省いてしまうのではなく、
なるべく全ての業務を洗い出すことを意識しましょう。
RPAの対象となる業務でなかったとしても、洗い出したことで効率化に繋がるケースが往々にしてあります。
手順③:業務プロセスの可視化と機能検討
3つ目の手順として「業務プロセスの可視化」と「RPAツールに必要な機能の検討」を実施します。
業務プロセスの可視化とは、普段実施している業務を工程単位で分解し誰が見ても分かるように細分化することです。
そうすることで、RPAに向いている業務なのか確認できたり、属人化の解消、またボトルネックとなっている工程を
把握することができるようになります。
そして、工程単位で業務を分解したことによって、RPAツールには「どんな機能が必要か」についても
検討できるようになるため、導入を検討する際には必要な手順になります。
また、業務プロセスの可視化に取り組むことで、不要な作業を発見し品質を向上できたり、
業務に関係する人たちの相互理解が深まったりなど「自動化以外の部分」でも利点があります。
今まで掘り下げていなかった業務を可視化するのは大変な作業ですが、実施することで大きなメリットもあるため、
必ず実施するようにしましょう。
手順④:RPA導入計画の立案
4つ目の手順としては、RPAを導入するための計画を立案します。
計画を立てるにあたり、主な項目として以下の6つがありますので、それぞれの項目についてどれぐらいの期間で
対応するのか検討しておきましょう。
- RPA対象業務の選定
- RPAツールの選定
- RPAツールのトライアル
- ロボット開発
- テスト運用
- 本番運用
RPA導入の工程、必要な人員やコストなどを具体的に検討し、導入計画を立案しましょう。
また、一気に導入を進めるのではななく、はじめは部分的に導入し徐々に適用範囲を広げていくといった「段階的な導入」や、
一連の業務を自動化するのではなく「部分的に適用する」など、最適な導入方法を検討し計画に盛り込んでいきましょう。
また、RPA担当者の教育についても、あらかじめ検討しておくことをおすすめします。
RPA導入の進め方
ここまでの手順で導入前に行う準備段階の検討が完了したら、以下の5つのステップに沿って具体的に導入を進めていきます。
ステップ①:RPA対象業務の選定
業務プロセスを可視化したときの結果を踏まえ、RPAに適した業務を選定していきます。
RPAが最も効果を発揮できる業務は、ルールが一定で単純かつ定期的に実施している作業なため、
その観点でRPA化に適した業務を選定していきましょう。
はじめは、シンプルで素早く自動化できる業務に焦点をあて、頓挫しないように効率的にRPAを進めるという点を意識して、
業務を選定するようにしましょう。
ステップ②:RPAツールの選定
「RPA導入前の検討手順」にて、RPA化する業務の選定や機能検討をしたことにより、
RPAツールに必要な「機能」や「サポート体制」ついて認識できた思います。
そこで、次はRPAツールを選定していきます。
例えば、選定した業務のプロセスに「メール送信」の処理がある場合、RPAツールには
メール送信する機能があるものを選定しなければいけません。
また、社内でRPA担当者は配置せずシナリオ開発をベンダー(ツール販売元)に任せる場合には、
開発専門のスタッフが手配できるツールを選定する必要があります。
そのように、自社で自動化したいと考えている業務に対しどんな機能が必要なのかや、RPAの運用をするためには、
どんなサポートが必要なのかという観点でRPAツールを選定していきましょう。
ステップ③:RPA導入の試行
次に選定したRPAツールを使って、試験的に選定した業務の一部を自動化してみます。
どんな業務も自動化できる機能があり、サポート体制が充実しているRPAツールだったとしても、
RPA担当者にとってストレス(操作感が悪い、運用・管理が煩雑など)となるツールだと意味がありません。
そのため、RPAの本格導入前に無料トライアル期間などを利用し、操作感の確認や効果検証、
導入するための改善点などを洗い出し、本格導入に向けて準備を進めます。
ステップ④:RPAツールの本格導入
RPAツールの試験導入が完了したら、本格的に導入を進めていきます。
本格的に導入する際は「スモールスタート」を意識し、効果を素早く実感できるようなシンプルな業務から自動化を開始するようにしましょう。
シンプルな業務から自動化を進めることで、人のリソースが創出されるタイミングも早まり、
その空いたリソースを使って、次の自動化を進めることが可能になります。
そういった好循環な環境づくりを行ってから、徐々に適用範囲を拡大していくことをおすすめします。
ステップ⑤:RPA運用の定着化
RPAの本格導入後は、運用管理や改善を行ってRPA活用の定着化を図ります。
はじめは手探りで導入していたものも、、徐々にRPAに関するノウハウも溜まってくることと思いますので、
そちらを文書として書き留めておき資料として運用できるようにしておきましょう。
また、費用対効果として導入前後の「業務効率化の程度」や「副次的な効果・効能」などを、
定性面・定量面の双方向から評価を行いましょう。
参考:RPAの費用対効果とは
RPAの導入に関するご相談はぜひKYOSOへ
RPA導入に関する準備段階の検討から、本格的に導入するまでのフローについてはイメージできましたでしょうか。
RPAは効果的な業務効率化のツールではあるものの、まだ馴染みの浅いツールなため、導入を検討したときに
「何から始めたらいいのか?」「とりあえずRPAツールを選んだらいいのか?」など、疑問が出てくることと思います。
今回の記事を参考にしていただくことで、RPAを導入する際のヒントや、全ての課題が解決しないまでも
RPAに関して一歩踏み出すことができれば幸いです。
また、導入するにあたって、他にも疑問に思う部分があるという方は、ぜひKYOSOへご相談ください。
専門のスタッフが、お客様の疑問の解決や、業務効率化へ向けて伴走サポートさせていただきます。