電子帳簿保存法改正について③ 義務となる電子取引の対応は?
こんにちは、営業の吉田です。
10月にはいり、急に温度が下がり、皆様体調は大丈夫でしょうか。
季節の変わり目でありますので、体調のくずしやすい時期でもあります。
季節に合わせた服装に気を付け、お大事になさってください。
また今年もあと3か月を切りました。日々の時の経つ速さに慄いておりますが、
あと3か月の間にできることはしっかりと対応していきたいと思っております。
さて、前回は電子帳簿保存法の改正内容について続けてお話させていただきましたが、
今回はその改正の中で重要である「電子取引情報の電子データ保存が義務化」について
どのような対応をしなければならないかの内容をお話をさせていただきます。
皆様のご参考になることを願っております。
■改正内容について
こちらは先の記事をご確認ください。
>>第一回:電子帳簿保存法改正について① 改正における変更点は?
電子帳簿保存法改正の変更内容について
>>第二回:電子帳簿保存法改正について② 改正における対策は?
電子帳簿等保存とスキャナ保存データについて
■電子取引情報の電子データ保存が義務化
過去2回のご紹介部分についてはある程度任意のものもありましたが、
今回一番重要な変更内容といたしまして、大手企業に限らずすべての企業が対応しなければならない
「電子取引の電子データ保存義務化」となります。
所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、
一定の要件の下で、その電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないこととされています(電子帳簿保存法7)。
今までは、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、
税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば差し支えありませんでした。
(事前申請等は不要でした)
2024年1月からは保存要件に従った電子データの保存が必要となります。
当初は2202年1月から施行で、すぐ義務の予定ではありましたが、対処期間の短さや周知不足等の配慮もあり、
政府は電子取引の電子データ保存義務化に2年の宥恕(ゆうじょ)期間を設けております。
しかしながらこちらの2年間はあくまでも「猶予」となります。
すでに施行されている内容でありますので、現時点で「対応が必須」となります。
皆様はまず現時点で「まだやらなくていい内容」ではなく、
「やむを得ない理由がある場合に猶予が認められる」という状態であるということを
理解していただく必要があります。
2年間の猶予期間が過ぎた後も未対応の場合は、申告漏れ等に課される重加算税が
10%加重される措置を取られることになりますので気を付ける必要があります。
■まずやらねばならないこと
「電子的に授受した取引情報をデータで保存」することです。具体的には、お客様との契約書関連書類(契約書、注文書、発注書、検収書等)、
並びに領収書や請求書などの取引情報を、紙ではなくデータでやりとりした場合には「電子取引」に該当し、
そのデータを電子的に保存しなければなりません。
しかしながら、領収書などを紙で受け取ったものはこちらには該当せず、あくまでデータで
受け取った場合等だけが対象ですので、誤認識のないよう注意いただきますようお願いいたします。
また、今まで電子データで受け取った場合でも出力した紙で保存しても良かったのですが、
今後は、オリジナルの電子データの状態で保存しておく必要があります。
保存要件は以下となります。
※パンフレット「電子帳簿保存法が改正されました(令和3年12月改訂)」より抜粋
こちらも難しく書いてはありますが、まとめますと
・データの確認ができる電子保存・各種システムの準備
→基本的なことです、がデータを確認できる、パソコンソフト等は必須になります。
・電子保存システム概要に関するマニュアル・概要書類の準備
→システムが概要はわかりやすいようにしておく必要があります。
・データの真実性を担保する対応
・検索機能の確保
こちら2項目は重要になりますので、詳細を以下に記載いたします。
■データの真実性を担保および検索機能の確保の対応は?
データの真実性を担保する場合、上記保管要件の「真実性要件」のいずれかの対応を行うことが必要になります。
①の対応においては、取引先でのタイムスタンプ付与が必須となるため、
自社の問題では対処ができない可能性がございます。
②の対処が自社で対応ができることとなり、こちらに対応した保存ソフトを利用することが
一番簡単な対応になるとは存じます。
また保存ソフト利用を行うことで、検索機能もほぼ網羅しておりますので、合わせての対処が可能になります。
電子データ取引に適応したソフトかどうかは先の記事の繰り返しにはなりますが、
JIIMA認証を取得しているかで判断ができます。
※JIIMA認証とは(JIIMA 公式サイト抜粋)
JIIMAでは、市販されているソフトウェアやソフトウェアサービスが電子帳簿保存法(電帳法)の
要件を満たしているかをチェックし、法的要件を満たしていると判断したものを認証しています。
JIIMA認証を取得したソフトウェア、ソフトウェアサービスを適正に使用することで、
電帳法を深く把握していなくても法令に準拠して税務処理業務を行うことができます。
なお、認証を受けた製品は、パッケージや紹介ページに認証ロゴを使用することができるので、簡単に見分けることができます。
電子取引ソフト法的要件認証製品一覧は以下に記載がありますので、
こちらの利用を検討いただくことが近道となります。
各ソフトは、IT補助金等の補助金対象のものもありますので、ご検討をお勧めいたします。
▼電子取引ソフト法的要件認証製品一覧
https://www.jiima.or.jp/certification/denshitorihiki/list/
とはいえ、ソフト導入にはコストがかかってしまいますので、
小規模企業様もなかなか導入には踏み切れない部分もあるかとは存じます。
その場合、保管要件の「真実性の要件」にある
”④正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定め、
その規定に沿った運用をおこなう。”
の対処を行うことで、現状のシステムで、運用による対処が可能であると認識いたします。
事務処理規定はどうしたら?とのご質問があるとは思います。
こちらにつきましては、事務処理規程のひな型を国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
本サンプルを参考にしながら、皆様の運用(ファイル名の付与または索引の作成等)に
照らしあわせながら規程を作成し、運用することで対処が可能になります。
▼国税庁HP:参考資料(各種規程等のサンプル)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm
■おわりに
三回にわたり、電子帳簿保存法についてお話させていただきましたがいかがでしたでしょうか。
私自身も知らないことが多く本ブログ記載にあたり勉強ができましたことをありがたく思います。
制度の変更は、運用に変更が必要であり皆様の工数、苦労を掛けることにはなりますが、
その先には業務の効率化であるとか、データ化によるDX化推進が進めやすい環境をつくれるなど
副産物となる良い効果も多く出ると認識しております。
難しい内容も弊社でご支援させていただくことも可能でございますので、
ぜひお気軽にお問い合わせいただきますようお願いいたします。
皆さまには本対応に頭を悩ませるだけではなく、ポジティブに対応を進め
皆様の会計・事務処理の効率化及び皆様企業の成長が進むことを切に願っております。
電子帳簿保存法関係の資料につきましては以下国税庁ホームページにまとめてありますので
ご確認頂きますようお願いいたします。
国税庁HP:電子帳簿保存法関係
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.htm
電子帳簿保存法改正について
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/002101
電子帳簿保存法改正一問一答
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/4-1.htm
JIIMA認証について
https://www.jiima.or.jp/