事例から見るRPA導入を進めるコツ② 中小企業編

 

皆さん、こんにちは。マネージャー住友です。

2022年に入り、コロナも落ち着くかと思いましたが、
オミクロン株が猛威をふるいまた感染者数が増えてしまいました。

1日の感染者数の報道が、またマスコミから流れる様になりましたが、その情報に一喜一憂する事なく、
感染予防はしっかりしながら私自身も新しい事にチャレンジする年にしたいと考えています。

前回、私が記載したコラムではRPAツールの導入後にどの様に活用していけばよいかを
ターゲットにケースを交えて掲載しました。

今回は、導入に向けて取り組まれたとある中小企業様の事例を我々の様に自動化推進や活用に向けて
導入を行う側の目線ではなく、RPAを導入したユーザ側の目線で事例を基に掲載したいと思います。

 

自動化が進まなかったあるお客様の事情

導入を進めたいと考えた企業様の推進部門には推進を実施するメンバーが9名おり、
その推進のとりまとめ役を任命された推進部門長がおられるという体制でした。

業務自動化を進めるため、業務の可視化や棚卸など指示を行ったのですが、
以下の理由で各メンバーの進捗は思わしくありませんでした。

・何故、自分が他業務もあるなかでやらないといけないのか
・実施したところで自身の評価に繋がるのか
・自動化をすると自分の業務は減ってしまうのでないか

この様にネガティブな考えが多く、重い腰がなかなか動かない状況でした。

 

ネガティブをポジティブに変えた推進部門長の取り組み

そこで推進部門長が考えたのが、自身も体現しチーム作りの一環として以下を実施したのです。

・とにかく業務自動化が進むと褒めた
   →やる気、モチベーションの向上

・自動化した業務についての発表の場をセッティングし、発表を行わせた
  →納期を設定する事で自然とやらざる得ない状況を作った
  →評価をしてもらえる場を設定した

・グループ制にし、3名1組とした
 →連帯責任としお互い刺激し合う。チームワークの発揮

結果、徐々に業務の自動化は進み始めました。

「何故、自分がやらなければならないのか」との考えだった人には 自身が部門の自動化を進めているんだという
自負を持ってもらい自身の評価を気にしている人に対しては発表会という評価をする場を与える事で、
ネガティブな気持ちの部分を少しずつ変化させる事に成功したとおっしゃっていました。

実際に発表の場では、各部署の部長は「今後自分の部署で広範囲に展開したい」等、
RPAを用いた業務の自動化を目的とした意見が相次いだそうです。

この様な意見については、自動化推進の手法は異なったとしても私も何度か聞いた話ではありました。

この企業様では、社長もDX推進に熱心でおられた事もあり、発表会に出席されて発表内容を聞かれており、
その社長の言葉は以下の通りでした。

「業務を自動化していく事自体は良い事だと事は思う。ただそもそも無駄な業務も多いのだから、棚卸から先にしたらどうだ」

この言葉を社長が発された際に、各部長はハッとされたそうです。

 

遠回りに見えた道が結果的に近道となった

実は、今回話の中心とした推進部門長は「自社はネガティブな考えが根付いており、RPAの推進は出来ない」
と考えられており、業務を見渡しても無駄が多く、業務自動化の前に見直し整理などの棚卸が必要だと
感じておられました。

ただ、まずは業務の見直しを行いましょうとボトムアップで始めてみても全く進まなかった事もあり、
遠回りでもまずは自動化を進め、発表会の場には同じ課題を感じている社長も出席いただけるので、
そこからトップダウンで進める事は出来るのではないかと考えられました。

時間はかかりましたが、社長からその言葉を引き出せただけでも、発表会をやった価値はあったと、
結果も考えていた通りになったと推進部門長は大変喜ばれていました。

新しいシステム等を導入するとなった時や、特にRPAの導入ではよく聞く話ですが、
「自分たちの仕事が奪われるのではないか」との空気が生まれる事はよくあります。

その場合、それは勘違いで人為的な失敗を限りなく無くすシステム(しくみ)の導入ということ。
そういったスタンスで見てもらう様にすると、意識は変わり協力的になっていただける事もあります。

自動化に関わる中で、企業規模や各社の文化、推進体制、各社環境が全く異なっているなかで、
共通する事もありますが、それによってやり方は様々です。

今回の様にボトムアップでは本当の効果は出せず、トップダウンを狙うケースもあれば、
企業によっては逆の方が効果を発揮することもあります。

業務の自動化は企業価値を高めるための一つの手段にはなりますが、我々でお手伝いできる事もあるかと
考えておりますので、是非ご相談ください。