企業でDXを実現するために、改めて一緒にDXの流れを見直してみましょう!【第1回:DX推進ガイドラインの構成】
みなさん、こんにちは。DXアンバサダーの伊藤です。
今回は、DX推進ガイドラインを読み直しながら、3年経った今ではその理解がどう変化し、
企業はどう進むべきなのか、私の知識を交えてお話していきたいと思います。
そもそもDXとは
まず簡単に、DXの語源から見直していきましょう。
DXはDigital Transformationの略であり、デジタルによる変革を意味する言葉です。
DXの定義ですが、ウメオ大学教授Erik Stolterman氏が定義した
「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」に基づき、
ビジネススクールIMD教授Michael Wade氏らがビジネスに寄せ、
「デジタル技術とデジタル・ビジネスモデルを用いて組織を変化させ、業績を改善すること」
と狭義に再定義しました。
更に、経済産業省が公表した「DX推進ガイドライン」ではDXを
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、
顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、
業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
と定義しています。
日本では、このDX推進ガイドラインを起点として、DXが躍進しています。
このコラムでは、全7回に渡って今一度「DX推進ガイドライン」を読み直し、
3年経った今企業はどう動くべきか考えていきたいと思います。
第1回目は、「DX推進ガイドラインの構成」を一緒に見ていきましょう。
DX推進ガイドラインとは何か
そもそも、DX推進ガイドラインとは何か、理解できている方はどのくらい居るでしょうか。
デジタル技術を使って自動化するんでしょ?くらいにざっくりは解っていたとしても、
しっかり理解している方は少ないように見受けられます。
また、理解されていたとしても、今読み直すと新しい視野で捉えることができると思っておりますので、
“DX推進ガイドラインとは何か”からお話していきましょう。
DX推進ガイドラインでは、”はじめに”と称して、2018年に経済産業省がDXに対して行った課題の提起、
検討と報告のまとめが記載されています。
そのまま書いても長くなるだけですので、内容を簡潔に見ていきましょう。
-はじめに
新規参入企業は新しいデジタル技術を駆使して成長し、2025年には太刀打ちできない脅威になります。
しかし、多くの既存企業は経営層を説得することができず、検証から先に踏み出せていないのが現状です。
原因は、企業全体を見ずにITシステムを導入し、データを十分活用できていない事、
更にはこのITシステムを改善しようとすると、ビジネスプロセスそのものに多大な影響が出てしまう事があげられる・・・
そんな内容です。
ここからが重要なのですが、DX推進ガイドラインの目的は、
“DX推進ガイドラインを策定し、DXの実現やその基盤となるITシステムの構築を行っていく上で経営者が抑えるべき事項を明確にすること、
取締役会や株主がDXの取り組みをチェックする上で活用できるものとすることを目的とする”
としています。
これはどういうことかと言いますと、DXをいきなり行っても経営層を納得させられないので、
このDX推進ガイドラインを使ってね。と言う事です。
しかも、この内容は多くの企業に認知されている内容のはずです。
では現実はどうでしょうか。
3年経った現在でも、何も進展していない・・そんな企業も多いのではないでしょうか。
実は、これが私がこのコラムを執筆しようと思った理由です。
行政機関がガイドラインを策定し、企業もそれを認識している。
しかし、RPAなどのツール導入は進んでいますが、DX実現に向けた本質は何も変わっていない。
それはDX推進ガイドラインを活用できていないのではないか、3年経った今であれば光明が見えるのではないか。
そんな思いで書いておりますので、皆さんと一緒に一つでも新しい気付きがあると信じ、進めていきたいと思います。
“はじめに”の内容に話を戻しますが、この時点で既に、既存ITシステムの改善について懸念されています。
しかし多くの企業は、既存ITシステムに変更が起きないよう、RPAなどで表面上のオペレーションを自動化する流れを加速させました。
2021年となった今でも、その流れは大きく変わっていません。
これは、データを十分に活用できていないIT環境をそのままに、問題を隠すようにDXを取り入れようとしている・・そういう事になるのではないでしょうか。
これでは効果が出ないのは必定であり、ガイドラインを再度読み込むに値する内容だと私は考えています。
DXガイドラインの構成
では、DX推進ガイドラインの構成について、触れていきましょう。
ガイドラインは、
・(1)DX推進のための経営のあり方
・(2)DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築
の2部で構成されています。
(1)DX推進のための経営のあり方では、
1.経営戦略・ビジョンの提示
2.経営トップのコミットメント
3.DX推進のための体制整備
4.投資等の意思決定のあり方
5.DXにより実現すべきもの:スピーディーな変化への対応力
が策定されています。
これは読み直す時点で一目瞭然、実状を鑑みるにこのガイドラインを体現できているDX推進担当者は少ないでしょう。
それほど大きな課題であり、企業の総力が必要な内容です。
2018年時点で策定されているのにも関わらず、未だ状況が進展していない理由は何か、
これについては次回以降の見直しで糸口を探していきたいと思います。
(2)DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築では、
(2)-1体制・仕組み
6.全社的なITシステムの構築のための体制
7.8.全社的なITシステムの構築に向けたガバナンス
9.事業部門のオーナーシップと要件定義能力
(2)-2実行プロセス
10.IT資産の分析・評価
11.IT資産の仕分けとプランニング
12.刷新後のITシステム:変化への追従力
が策定されています。
これはIT経営に密に関わる部分であり、“(1)DX推進のための経営のあり方”があって初めて成せる内容です。
正直なところ私自身、ガイドラインを既存企業に当てはめられるのかどうか、疑問に思っています。
次回以降”(1)DX推進のための経営のあり方”を読み直していく中で、
私もその答えが見つかるようDX推進ガイドラインに真正面から向き合っていきたいと思っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回以降、DX推進ガイドラインの詳細を読み直しながら、企業の実情を当てはめ、
新しい課題と解決案を提示していきますので、次回もお付き合いいただけますと幸いです。
ライター:伊藤 崇峰
2018年にDXを知り、RPA開発リーダーとして3年間様々な部署の業務を自動化する。
自動化を行う中で培った幅広い知識・経験を活かすため、現在はDXコンサルタントやプリセールスを生業としながら、
DXアンバサダーとして活動している。