業務効率化(自動化)における「業務マニュアル」の活用

業務の概要や全体の流れ・作業手順などが記載された「業務マニュアル」は、
社員が対応するときに参照するだけでなく、業務効率化の推進においても欠かせない存在となります。

今回は業務マニュアルの作成により得られる効果と作成時のポイントについて、
業務効率化手法のひとつである「RPAロボットによる自動化」を行ったときの活用場面とあわせてご紹介します。

 

業務マニュアルを作成することで得られる効果

業務マニュアルを作成することで得られる効果として、主に以下の4つが挙げられます。

①業務品質の均一化

社員それぞれが頭の中に持っている業務知識や気づきをマニュアルに落とし込むことで、
全員で情報の共有ができ、どの社員が担当しても一定以上の品質を保つことが可能となります。

 

②仕事の引継ぎや新人教育期間の短縮

業務の内容や必要な知識を資料として渡せるため、他部署から異動してきた社員への引継ぎや、
新入社員への教育にかける時間の短縮につながります。

また、テレワーク等で先輩社員が近くにいない場合でもマニュアルを使ってサポートすることができます。

 

③業務属人化のリスク対策

マニュアルがあれば
「社員が休んだ日にその人の業務を誰もカバーできない(内容がわからないため)」
というケースをなくすことができます。
担当者が不在でも他の社員がマニュアルに沿って代行できるため、品質の維持が可能となります。

 

④業務改善のための土台づくり

 作業工程を洗い出し、現状を整理することで業務内容を見直すきっかけができます。
「作業にかかっている時間の把握」「仕事の重複がないか」「廃止/結合できる処理はないか」等、
分析や改善検討の材料として活用できます。

 

RPAの導入(運用)における業務マニュアルの活用

次にRPAによる業務の自動化において、どのように業務マニュアルを使用することがあるかをご紹介します。

①業務フローの作成時

業務の自動化にあたり、はじめに対象業務の手順を全て書き出して、業務フローの作成を行います。
この内容を基にRPAロボットの開発を進めていくため、業務手順はかなり詳細に挙げていく必要があります。

例:
「どのブラウザを使って、どこのサイトを立ち上げる」
「xxの画面で○○のボタンを押す」
「何月何日のデータをダウンロードする」

このときに業務マニュアルがあると、関係者全員が同じ内容を共有しながら詳細の確認を進められるため、
業務フローの作成にかかる時間の短縮に効果を発揮します。

関係者に業務未経験の人が含まれる場合を考慮して、理解しやすい内容になっていると尚良いでしょう。

 

②導入後のメンテナンス時

RPAの導入後、暫く運用を続けていると、使用するファイルやWebサイトのレイアウトが変わる等の変更が発生してきます。
RPAロボットは指示された内容・方法でしか処理を行えないため、少しの変更であっても
都度メンテナンスを行い、動作を調整する必要があります。

メンテナンスの際は、RPAロボットが行っている業務手順を確認したうえで改修を行いますが、
ロボット導入から期間が空くほどに内容を思い出すことが難しくなります。
そんな時に業務マニュアルで内容を確認できるようになっていると、
その後の対応を素早く行うことができます。

他にも、一時的にRPAロボットに代わって人手で作業を行う場面や、RPA(業務)の引継ぎを行う場面でも、
業務マニュアルがあるとスムーズに対応でき、業務品質を保つことが可能となります。

自動化を行った業務であっても、もとの業務内容を確認できる資料は残しておくことをお勧めします。

 

業務マニュアル作成のポイント

業務マニュアルは、読み手にとって業務のルールを理解しやすい内容になっていることが大切です。

主な読み手は業務未経験の人になると想定して、以下を意識して作成すると良いでしょう。

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・業務に関する前提知識が必要な場合は情報を記載する
・専門用語の多用はできるだけ避けて、別の言葉に言い換える
・読み方によって解釈が分かれてしまうことがないよう曖昧な表現は避ける
・文章だけではなく、図や表、画像を組み合わせて見やすくする
・作業前と作業後のイメージを共有する(例: 画面の入力、出力データの内容等)

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もう1点重要なポイントは【最新の内容が記載されていること】です。

業務マニュアルは1度作成して終わりではなく、関係者間で共有し、業務内容に変更があれば都度更新していく必要があります。
もし更新が行われていないと、マニュアルの内容が実際の業務と合わなくなり、活用できなくなるためです。

マニュアルの作成が完了した後も、定期的に内容の見直しを行うようにしましょう。

 

まとめ

今回は業務の自動化(RPA)を行う場面を例にご紹介しましたが、
業務効率化の推進には「対象の業務内容を理解していること」が重要で、
その際に業務の概要や全体の流れ・作業手順などが記載された「業務マニュアル」は欠かせない存在となります。

業務マニュアルの作成は労力と時間がかかるものですが、理解しやすい内容になっているほど得られる効果が大きくなります。

最初から完璧な内容を目指す必要はありませんので、色々な立場の人に見てもらい、
分かりにくい点が見つかったら修正を行うことを繰り返して、少しずつ内容を充実させていくと良いでしょう。

「業務マニュアル」を有効活用して、業務効率化の推進、そして業務品質の維持・向上につなげていきましょう。