コラム:「自動化したら業務がなくなってしまう?」にお応えします。

自動化対象の業務は、バックオフィス業務である
・見積書作成、納品管理、アナウンスなどの営業事務。
・売上管理、出納、決算などの経理業務。
・予算や資産運用などの財務業務。
を行う事が多くあります。

それは、自動化の前提に「定型業務であること」があげられ、バックオフィス業務の定型化が
他の業務より容易であることが理由となります。

しかし、定型化できる部分は決して多いわけではなく、そのすべてを自動化する事はできません。
その理由を紐解く事で、表題の答えが見えてきます。

よく自動化のツールとして出てくるRPA(パソコン業務の自動化)OCR(紙媒体の文字認識)ですが、
自動化できる範囲は決して大きくなく、人の判断が必要ない部分のみとなります。

例として
【RPA】
「Excelでまとめられている発注一覧や、データ化した定型フォーマットから発注書を作成」
「現金出納データから出納管理システムへの登録」

【OCR】
「同一フォーマットの発注書(紙媒体)から、発注書データの作成」
「同一フォーマットの納品書(紙媒体)から、納品情報データの作成」
などになります。

この例の前後に発生する、データの準備や後続処理、金額の確認やイレギュラー対応など、
自動化しても人の作業が無くなることはありません。
特に、自動化により作成されたデータや登録された内容の確認は、システムでチェックできなければ
人の目で行う必要があります。

「では自動化ってなんなの?」
そんな声が聞こえてきそうですが、RPAなどの自動化は「従業員の業務を支援する」事が目的です。

業務の中で、本来従業員が行う必要のない部分を自動化し、空いた時間を生産性の高い本来の業務に充てる。
その結果、残業や不満の解消に繋がることが、自動化の成功例だと私は考えています。

さらには、自動化を通してICT(情報通信技術:ITにコミュニケーションを足したもの)に触れ、
従業員としての価値を上げるお手伝いも、重要な自動化の役割ではないでしょうか。

最後に事例として、交通費精算の自動化についてお話致します。
とある企業では、複数の営業担当者が使用した交通費を、ひと月分まとめて事務員が交通費精算システムへ登録していました。

この業務は、月末月初に行う必要があったため、様々な締め処理や経費計上処理と重なり、
残業やオペレーションミスの原因となっていました。

そこでまず、営業担当者が交通費を使用したら、交通費Excelに交通費情報を入力するようお願いします。
そして、月末にRPAで交通費Excelを読み込み、交通費精算システムへ自動で登録するよう自動化しました。

これにより、月末月初の工数に余裕が生まれ、締め処理や経費計上処理に集中する事ができるようになり、
オペレーションミスが低減しました。
また、交通費精算システムへの登録業務が無くなったことにより、残業もなくなりました。

この例では、既に問題が起こっている部分にフォーカスした自動化例となっておりますが、
「システムを変更しない業務の見直し」「工数の削減」「オペレーションミス低減などの定性的効果」同時に発揮できるのも、
自動化ならではです。

結論として、
「業務を支援する事」を目的とした自動化は、人の手を借りずに自動化する事は出来ません。

自動化する事により業務を”任せる”のではなく、”手伝ってもらう”イメージとなりますので、
業務が無くなることはないと考えていただければと考えています。